顔にできる赤く腫れた「めんちょう」は、一般のニキビや軽い皮膚トラブルとして
見過ごされがちです。しかし、特に顔の中心部（鼻、上唇周辺、口元）に現れた場合、
その裏には命に関わる重大なリスクが潜んでいます。

めんちょうの正体は、毛包に細菌が感染し、炎症を起こしたものです。
初期段階では軽い腫れや違和感にとどまりますが、感染が進行すると
皮膚の深層にまで炎症が拡大し、強い痛み、熱感、硬結を伴うようになります。

ここで最も警戒すべき点は、顔の中心部の血流の特殊性です。
鼻や上唇の周辺の血管は、直接、脳につながる静脈に近い経路を持っています。

このため、感染しためんちょうを不適切に触ったり、自己処理をしたり、
あるいは放置したりすることで、局所の細菌感染が血流に乗って深部へと波及し、
脳炎や脳髄膜炎といった中枢神経系の重篤な合併症を引き起こす危険性があるのです。

「数日以上痛みが引かない」「腫れが強くなる」「熱を持つ」といった症状が出た場合は、
単なる皮膚トラブルとして油断してはいけません。市販薬での対処や自己判断に頼ることは極めて危険です。
感染が全身に広がる「敗血症」に至るリスクも伴います。

重症化を防ぐためには、早期の専門的な診察と適切な治療が不可欠です。
顔の中心部にしつこい痛みや腫れを伴う炎症が現れた際は、直ちに皮膚科などの専門医を受診し、
適切な処置を受けることがご自身の命と健康を守る上で最も重要となります。

症状の長期化が示す深部感染の可能性

顔や首周りにできた皮膚の腫れや膿を、多くの人は軽い吹き出物やニキビと認識しがちです。
しかし、痛みが数日以上続き、腫れが引かずむしろ増していく場合、それは深部まで感染が及んでいるサインかもしれません。

特に鼻や上唇など顔の中心部にできた強い炎症は「めんちょう」と呼ばれ、
単なるニキビとは区別して警戒する必要があります。

この「めんちょう」が熱感や強い圧痛を伴い、さらに頭痛や倦怠感といった全身症状を伴う場合、
局所の感染が体内に波及している可能性が極めて高いです。

顔面の血流は頭蓋内の血管と密接に連絡しているため、この「めんちょう」の感染を放置したり、
不適切な自己処理をしたりすると、細菌が血流に乗って脳周辺の組織にまで影響を及ぼし、
深刻な合併症を引き起こすおそれがあります。

単なるニキビや軽度の炎症では済まされない状況を見極めるには、見た目だけでは不十分です。
症状が長引く、あるいは高熱、視界の異常、意識障害といった重篤な症状が現れた場合は、
炎症が皮膚の奥深くに及んでいる可能性があり、直ちに専門医の診察が必要です。
この際、炎症の広がりを正確に診断するため、血液検査や画像診断が必要になることもあります。

早期に的確な診断と迅速な治療を開始することで、炎症の拡大を防ぎ、
重篤な合併症に至る前に症状を抑えることが、健康を守るために不可欠です。